原 豪志 ブログ
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Rally Mongolia2012ETAP7ホンゴルーエルデネサント

久しぶりのベッド、実にゆっくりと眠ることができた(気がする)
ゲルの扉を開けたら

この景色!
晴れ晴れとした気持ちでスタートまでの準備を整える
ラリースーツを着てブーツを履く、インフォメーションを確認してランチパックをもらいパッキング

※写真はゾーモット PHOTO 青山さん
バイクの横で軽くストレッチ
一連の動作がようやく考えずに自然にできるようになっていく
体がラリーに慣れてきているのか「早く走り出したい」でいっぱいだ

PHOTO 佐野シンヨさん
この日はSS452KMとリエゾン60KMトータル513.85KM
リエゾンスタート直後の川が増水しておりオフィシャルの先発隊が通れるルートを確認中とのことでスタートが一時間遅れる
その後SSスタート時間も30分遅れ結局SSをスタートしたのは予定の9:30より1時間30分遅れの11:00スタートとなった
またRCP直後の川渡りでも増水しているということで8割の確率でRCPごキャンセルになるとのことスタートは遅くなったが今日は230キロのSSになる可能が高いということね
(このときは余裕の考えだった…)
11:06自分の番が来てスタート

PHOTO 佐野シンヨさん
前にはモンゴル人ライダーや小栗さんの砂煙が見える
ここも高速ピスト100キロ巡航で淡々と距離を稼ぐがしばらくすると枯川の山岳ルートに入っていく
薄いピストの中を走っていたが突然ピストが消えて岩だらけの山岳地帯になっていった

PHOTO SSER 篠塚健次郎さん
前方にはHINOカミオンや篠塚健次郎さんジムニー後方にはKTM佐野さんだ、次のGPSポイントは右を差しているがコマ図を追っていくと左側にオンコースはあるはず
しかもGPSの示す方向は切り立った岩が待ち構えている
「とてもじゃないがそんなところ走れません!道ではなく山岳地帯だ!」
しかしシンヨ選手はそこでもCAPの方向へ走り去っていくのであった…

(これ実際に現場の写真です青い車が篠塚、千葉組
10分ほどヒルクライム、ダウンヒル、ヒルクライム、ダウンヒルを繰り返しオンコースにでた
そこはとてもじゃないが脇からオンコースに戻れるような斜度ではない!急こう配の山間部を走り抜ける渓谷ルート
二輪ならなんとかなるが4輪ではすれ違うのも大変な狭い渓谷ピストをしばらく走るとやがて広い大草原に出た
はるか右の方からは同じ方角に走る一本の砂煙が見える
しばらくは高速ピストが続くサンドになったり草原のピストになったり村も通った
6速、緩いコーナーで5、4速130キロから90キロ前後で飛ばす
コーションでは必要以上に減速するが高速ルートとナビゲーション
体がラリーモンゴリアに順応し始めているのを感じた

2時間ほど高速ピストをこなしRCPへ
「いや〜今日も楽しいSSだったぜ」とおもいゴールしてみると様子がおかしいトップグループのモンゴル人が休憩していた
SSゴール後に休憩?そんなわけはない
そうです8割渡れないといっていた川はオフィシャルがチェックしたとこと腰くらいの深さだからGO!とのこと
「無理無理!ムリムリ!」とオフィシャルに言ってみたが片言の日本語をしゃべるモンゴル人スタッフはチェックカードを受け取り今後のスケジュールを説明し始めた
その時ゴールしていた小栗さんや尾島さんたちみな「集中力が切れた」と話していた
すっかりここがゴールのつもりで飛ばしてきていたのだ(自分もね)
RCPには全体でも15番手でゴールしている自分もCPスタートは16:10残り300キロ弱を日没の20時までにゴールするにはアベレージ80キロ以上!
その前には腰の深さの川渡りがある水没している場合ではない
限られた時間の中で持ち合わせているもので水没対策を考えなくてはいけない
HP2はインテークパイプが腿の高さにあるから 川に入った瞬間にエアクリーナーが水につかるだろう、リヤバッグからゴーグル入れに使っていたナイロン製の袋とジップロックをパイプの先端に取り付けて周りをガムテープで保護することにした
もちろん渡るときはエンジンはOFFで
オフィシャルが一人立っているとのことだが200キロ以上のオートバイを二人で腰の深さの川を渡りきるなんて考えられない最悪は見物しているモンゴル人にでもお願いできるように小銭を取り出しやすいポケットに別々に忍ばせておいた
このRCPは今までのどのCPよりも緊張した時間だった
緊張のRCPをスタートし10キロくらいでその問題の川に到着

PHOTO SSER(黒田さん) ※写真ではジムニーが水没しています…
ボンネットの上まで水没したパジェロがバックで川から出てきていた
現地のスタッフがこちらに寄ってきて渡れと支持される
やっぱり「無理だよ!」と答えてみるも聞かない…
しょうがないのでまずは川の中の浅いルートを見つけようとバイクは置いて自分だけで入っていくがいきなり腰の深さ!
そのまま中央までは深さは変わらないが流れが強く流されかける
「怖い」
マジでそう思ったよ
しばらくするとシンヨ選手のKTMがやってきて「一緒に渡ろう!」
二人+モンゴル人スタッフの3人でHP2を押す何とか向こう岸までたどり着き
ヘルメットを脱いで念のためキーを抜いて対岸のシンヨさんのKTMを押す
KTMは軽くしかもリヤにフューエルタンクを装着していたため浮き輪のように川の途中で浮き始める横を抑えていた自分はあわててフロントアクスルを押さえつけながらどうにかながされずに渡り切った
のどは緊張でカラカラ腰から下はずぶ濡れ
とにかくなんとか難所は突破した
思わずハイタッチ!
周りには大勢のモンゴル人のギャラリー、シンヨさんが心配して「待っていようか」と言ってくれたが自分はエアクリーナの防水加工解除やエレメント状態を確認したかったので先に行ってもらう、サイドケースを外しチェックしてみるもエアクリーナーは全く湿っていなかった
「イエス!」
再スタート!10分するとエンジンのコーションマークが点滅
エンジンを切って確認するがわからないトラブル症状は出ていない
またスタートすると今度は5分ほどでコーションが!
「あ〜ここでおれのラリーも終わってしまうのか」と思いながらバイクを止める
そういえばインテークは防水したがマフラーの出口ふたしていなかったことに気が付く(アフォです)
案の定エンジンをふかしてみると水蒸気のようなものが出る
どうやらマフラーから水が入りO2センサーがエラーを拾っているらしい
20分したらすっかりコーションマークは消えていた
「助かった」
残りは250キロ!時刻は17:00
日没までは3時間弱

PHOTO SSER
そこからの集中力は今大会のなかでベスト
速度は80キロ〜120キロ、コマ図は2コマ先までを記憶して
最小限の減速でナビゲーションをしていく
250キロのルートでロスト仕掛けたのは小さい看板とかいてあるピストを見失ったくらい時間で言ったら2分くらい
小高い尾根を走る高速ピストSSゴール10キロ前には前走者の姿をとらえる(それまでにも数台のライダー、ドライバーをパスしていた)
ゴール2キロの地点でシンヨさんということを確認そのままゴール
二人で雄たけびをあげながらハイタッチ!
このラリーハイライトの一つとなった
そこからは舗装路の道を10キロほど行くと今日のビバークその前にガソリンを満タンに入れる
日はまだ明るいが低く暗い雲が立ちこんでいる
気温も下半身が濡れているとはいえ涼しいというよりは寒い!

(この時点でゴールしている日本人ライダーはこの3人)
19:30本日のビバーク地にゴール今日もツーリストキャンプだ
荷物をゲルに置きさっそくバイクの整備を始めると雨が降り始めた
雨宿りする場所はないのでエアクリーナーの清掃とスポークの増し締め、各ボルトのチェック等を行い急いでゲルに戻る
「しかし寒いな〜」
下半身のウエアーはずぶ濡れ、荷物はまだ届いていないようなので
前日のビバークで着ていた海パンとTシャツ素足で食堂に入る
途中スタッフの黒川さんに「原さんそんな格好でサンダルぐらい履きなさい!」
と注意される「だって荷物に入れちゃったんだもん!」とタケシ
まるで小学校の先生と生徒のような会話(黒川さんにサンダルをかりる、ありがとう!)
20:00日本人ライダーでゴールしているのは自分と小栗さん尾島さんシンヨさんだけ

PHOTO SSER
ほかの多くのライダーはまだルート上にいる
冷たいあめはやがて強さを増して雷雨に変わっていった
外は真っ暗、激しさを増す雨
稲光とともにドギャーンという雷音が響き渡る
ポツポツと頼りないヘッドライトの明かりがビバークにたどり着く21時になっても多くのライダーは戻っていない…
食堂にいる誰かが今の外気温は5度くらいだ!という話をしていた
今走っているライダーは本当につらいだろう川渡りをして下半身はずぶ濡れ
前日は気温30度を超えるルートだったため多くのライダーは薄着で走っているに違いない
自分はその前のビバークでカッパの下とインナーを10KGバッグへ入れてしまっていた
今日のゲルにはマキストーブが常備されていた
スタッフにお願いして槇ストーブに火をいれてもらう
22:00過ぎ
「10番!10番のゲルはどこだー」
という声が雨音とももに外から聞こえた、そう10番は自分たちのゲルだ
「ここだよ!」とドアを開ける
ずぶ濡れになった篠原さんがこちらに近づいてきた
ゲルに入るなり「やばかった」とため息とも聞こえない声でつぶやいた
「走っている山の尾根で雷が鳴り目の前が光で真っ白、音はタイムラグなくなっているし、このまま止まっていては落雷にあってしまう、途中山の中では雹に降られるし、寒いし、まだ帰ってきていない人が大勢いるよまずいよ…」
興奮した声で立て続けに話し始めた
「雨の中モンゴル人ライダーが転倒したから近付いて行ったらその先で地元のおじいさんがバイクで転倒して下敷きになっていう荷台から白い牛乳のようなものがこぼれて、おじさんは衰弱してるし地獄絵だったよ…途中雨宿りできるようなゲルもないし!」
どんどんとその過酷な状況での話が出てくる
どんな思いをして走ってきたのだろう
まだ到着していないライダーたちはこの暗闇と寒さの中でどうしているのだろう
明日はこのまま走り続けられるのだろうか
どんどんと自分も不安になってきた

PHOTO SSER   阿部さん
今回のゲル同室のはずのKTMに乗る阿部さんも戻ってきていない
しかも彼は初日にリヤブレーキを失いそのまま走り続けているのだ!
やがてまきストーブの燃料も底をついてきた
リタイヤをしてサポートトラックでここまで来た青山さんがレストハウスに薪をもらいに行ってくれ仲間に暖かいスープや食事を持ってきてくれた
まだ荷物が届いておらず自分は海パンTシャツ
篠原さんはずぶ濡れになったラリースーツ一式とてもじゃないが外の暴風雨と寒さに耐えられることはできない
ありがとう!青山さん
0時過ぎ、自分はウトウトしていたとおもう
ずぶ濡れでボロボロになった阿部さんが帰着
コース上で地元のモンゴル人に馬でロープをもって追い掛け回されたこと
コンボイで走っていたライダーが来ないので戻ってみると
バイクに挟まれ起き上がれずに豪雨で小川のようになったピストに体半分埋まっていたのを発見して救出(見つけるのが30分遅れてたらやばかったとのこと…)
暗がりの中ピストを見つけることができずミスコースを繰り返しては戻りルートを見つけてはと永遠走り続けたらしい
「過酷だよ!過酷すぎるよ!」
この夜の皆の体験談はどんな怪談話よりも怖いものだった
しかもたった一日の出来事だよ!
気持ちも体も寒さで凍える夜は更けていくのだった…

つづく

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